2013年9月9日月曜日

これでは市民の理解、合意はえられません 「ごみゼロ社会の実現」めざす精神はどこに

 市は815日の「広報ひの」、「ごみ広域処理」計画の説明会で参加者から出された市民の意見に対する「市の考え」を示しました。

「広域化のメリット」として「コスト削減」「エネルギーの有効利用」「環境負荷の低減」などをあげています。

しかし、これらはごみ処理を広域化し、大型施設を建設して焼却することを推進する政府の言い分や、大手焼却炉メーカーの宣伝をうのみにしたものです。


 ほんとうに市民の理解や納得を得ようとするならば、2000年に実施した日野市の「ごみ改革」の精神に照らして説明する必要があります。

それがまったくみられないのが、「広報ひの」に掲載された記事の特徴です。

2000年の「ごみ改革」では、それに先立ち、市民参加で「日野市環境基本計画」(1999年)をつくり、「ごみゼロ社会の実現」めざす改革の理念と政策を明確にしました。

この理念と政策を支持したからこそ、市民は、ごみ減量政策に協力し、成果をあげてきたのではないでしょうか。

●「市民参画」の精神は・・・
 
 「ごみ処理広域化」計画は、東京都、小金井市、国分寺市などとの「密室協議」でまとめられました。

しかも、日頃から様々な迷惑をかけている地元住民の合意を得ることなく、三月には、三市間で「覚え書き」を締結、環境省に「計画書」を提出してしまいました。

このことで行政への地元住民の信頼は完全に失われました。

2000年の「ごみ改革」で示された「市民参画」の精神はどこにいったのでしょうか。

●高度の排ガス処理で大丈夫というが・・・
  
  市は、広域処理で排ガス量は増加するが、「厳しい排ガス基準の設定」「高度な排ガス設備の導入」「(煙突からの)拡散により数十万分の一に希釈」などで心配がないと言っています。

しかし、ごみの組成は複雑化し、焼却で生成される有害物質はさらに複雑多様です。

「日野市環境基本計画」では「利用されている化学物質は10万~20万におよぶが、汚染の測定データもなく、汚染実態さえ解明されていない」と焼却処理のリスクの大きさを指摘し、焼却による減量ではなく、「資源化率90%をめざすごみゼロ社会の実現」を掲げました。

だから「日野市環境基本計画」は、国が補助金がらみで「大型高温24時間連続焼却炉」の建設を推進していることや、「エネルギーの有効理由」を口実にしてごみ焼却熱を利用した発電等を資源循環の理念に反すると明確に批判していました。
 

●大型焼却炉の建設で自治体や消費者の負担は軽くなるか・・・
 
 大型焼却炉や高度排ガス処理施設に巨額の税金を投入し、大量のごみが焼却できるシステムをつくることは環境だけでなく、コストを考えても問題です。

「日野市環境基本計画」は、生産→流通→消費→廃棄物処理の流れの中で、上流側の生産・流通段階での「発生回避」こそが決定的であり、「コストも少なくてすむ」と指摘しました。

 国は、上流側の生産・流通事業者の責任をあいまいにし、ごみ処理費用の負担を末端の自治体と消費者に押しつける政策をすすめています。補助金などで広域処理・大型処理施設建設を推進・誘導しているのも、そのためです。

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